海月玲二

というわけでスロベニア観光だ.ここの鍾乳洞は,鍾乳石などの一般的な鍾乳洞の景観が楽しめるのはもちろん,途中から地下に川が流れてるエリアが観光できるのがハイライトである.俺たちが行ったときはちょうど雨が降ったあとだったので水量が増えており,巨大な空洞に逆巻く地下大河という,他ではちょっとお目にかかれない景色を楽しむことができた.

ここは内部の撮影は禁止ということになっている.でも,実際にはけっこうみんな写真を撮ってるし,ガイド氏も気づいてるだろうに見ぬふりをしてるフシがあって,なんだかおかしかった.さすがにフラッシュを使う奴はいなかったようである.参加したグループはイタリア人が多かったんだけど,ひとつ前のドイツ人が多いグループでは,みんな決まりを守ってたりして.

ところで,ここは例によって交通が大変に不便である.まず最寄り駅のディヴァチャまでの列車は日に数本しかない.たとえばコペルを出発点とすると,事実上10時発か13時50分発の二択である.しかも夏以外は後者は不可(鍾乳洞の営業時間が短くなるため).さらに,ディヴァチャ駅から鍾乳洞までは歩くと小一時間かかる.無料の送迎バスがないこともないが,これも日に数本であり,なおかつ時刻もそれほど便利ではない.シュコツイヤン鍾乳洞はガイドツアーでないとそもそも入れないのだが,そのガイドツアーが出発した直後に平気で到着したりする.夏季以外はガイドツアーが日に二〜三回しかないので,下手すると送迎バスで到着したと思ったら「もう終わりましたよ」とか言われて,そのまま引き返すようなことにもなりうるようだ.

あとディヴァチャまでバスでも行けるみたいだが,別の行き先のバスに乗って途中下車する感じなので,時刻などは窓口でちゃんと確認する必要がある.コペルのバスターミナルの窓口はいつも混んでるので,微妙にめんどくさいな.

ともかく,行こうと思ってる人は,公式ホームページなどでツアー開始時刻を調べ,何時ごろ到着できるかちゃんと検討してから行ったほうがいいと思う.切符売場には「切符の販売はツアー開始の30分前までです」みたいにも書いてあったが,どの程度厳格にしているのかは知らない.

というか,適当に行くならディヴァチャに泊まるのが楽だな.


2014-09-02(火)

ピラン

俺は雨と寒さが苦手である.大変残念なことに,スロベニア西部に滞在していた数日間は,ほとんどずっと冷たい雨が降っていた.ピランはアドリア海岸の古い町で,ヴェネツィア風の町並みを散歩するのが楽しいステキな観光名所……というはずなのだが,どうにもそういう気分じゃない雰囲気だった.雨もさることながら,なにしろ海に突き出した半島なので,風もけっこう強いのだ.特に外周の道はひどくて,観光シーズンなのに閉めてる店まであったほどだ.

あとオープンカフェが多いのも,いい天気ならよかろうけども悪天候ではつらかった.路地裏にあった小さなカフェに一旦逃げこんで,やっとなにかする気力が出てきたものである.というかそのままカフェにこもってようかと思ったぐらいだ.でもヨーロッパ人の観光客たちはわりと寒さに強いのか,普通にオープンカフェにも客がいたりしてびっくりした.

まあせっかく来たのでがんばって散策してみたところ,確かに小規模ながらそれなりに入りくんでいて,わりといい路地ではあると思った.これで天気がよければ猫の一匹や二匹出てきただろうに.あとはまあ,町を見下ろせる城壁に登って,ありがちな写真を撮ってみたりとか.


2014-09-02(火)

コペル

鍾乳洞やピランに観光に行く拠点としては,この地方の中核都市たるコペルに滞在していた.ここはいわゆる港町である.クレーンやコンテナがいっぱいだ.

コペル自体にも旧市街はあって,それなりに雰囲気がよさそうではあった.でも周囲の観光をするにあたって大変非効率的に行きあたりばったりで動いた結果,コペルの町自体を観光する時間がなくなってしまった.結果として,コペルの町については宿泊した家とか(一般家庭の一部を借りて泊まるタイプ),住宅地にあるちょっとした商店街とか,バスターミナルの窓口がひとつしかなくていつも行列ができてることとか,てきとうな店に入ってアイスを食べたりしたこととか,そんなことばかり記憶に残っている.

それでも鍾乳洞から戻ってきた夜,夕食を食べに旧市街に行ってみたりもした.この町自体に観光に来る人は少ないせいか,ふつうの店はほとんど閉まっていたしカフェやレストランの類も静かなものだった.そのわりには,ときどき人が歩いているのが不思議な感じである.静かだけど雰囲気はわりと平和な感じだ.あと夕食で食べたイワシの空揚げみたいのが思いのほかうまくてびっくりした.

ところで,この町も周囲の住宅地はものすごい坂道ばっかりである.今回の旅行は山国が多いので,こういうパターンが多いなあ.


スロベニアとイタリアの国境にある町だ.

第二次大戦後,ゴリツィア市(イタリア)の郊外がユーゴスラビアに割譲

冷戦で東西に分断されたままそれぞれ発展

冷戦終了,ユーゴスラビア解体

スロベニアがシェンゲン圏加入,イタリアとの国境審査も撤廃

再び往来が自由に

というような歴史を辿った町で,冷戦期はベルリンよろしく分断されていたそうである.スロベニア側のノヴァ・ゴリツァはもともと郊外だったので,旧市街だとかそういうものは一切ない.中心部はまっすぐな道路に四角いビルが等間隔で並び,いかにも20世紀後半に新しく作った町である.いかにもイタリア風の旧市街が残るイタリア側ゴリツィアと,ずいぶん違ってておもしろい.

実際,今ではある種役割分担のようなことが起きているのかもしれない.ノヴァ・ゴリツァのカジノにはイタリア側から客が来ているらしいし,駐車場完備の巨大ショッピングモールなどもイタリア側にはなさそうである(どうでもいいが,スロベニアには妙にこの手の巨大モールが多い気がする.どんだけ車社会なんだ).逆にイタリア側でスロベニアナンバーの車を見かけることもあった.どういう用事なのかは知らないが.

夕食はノヴァ・ゴリツァのレストランで食べた.人気の店らしく混雑していたのだが,けっこうイタリア語を話すお客も来ているようだった.店員の人達も,普通に両方の言葉を使って応対していた.さらに当然俺達には英語であり,いろいろ大変だと思った.スロベニア語とイタリア語と英語ってそれほど似てないよなあ.なお,主なメニューはピザなどのイタリア料理であった.


スロベニアの首都.10年前に一度来ているのだが,そのときは雨が降っていたのでろくに観光もせずにショッピングセンターとかに引きこもっていた記憶しかない.まったく雨は苦手である.今回は雨じゃなかったので,それなりに散策できて満足だ.

リュブリャーナはなんというかオサレにちいさくまとまった町だな.正直言って目玉となる観光名所は別にこれといってないんだけど,ヨーロッパの町の雰囲気を楽しむにはなかなかよいと思う.町のディスプレイなどもなかなか洗練されているし,なによりヨーロッパの大都市としては飛び抜けて安全だし.それとヨーロッパの大都市ではときどきあることだが,ここでも,中世からのいわゆる旧市街だけでなく,外側の新市街もみどころのひとつだと思う.なかなかいいビルが並んでいておもしろい.

いちおう丘の上の城跡が観光名所であるが,なんというかアレは市民の憩いの場というか,公園の豪華な奴というか,そういう感じがした.普通にイベントごととか写真ギャラリーとか結婚式とかそういう用途に使われてるし.

ところでリュブリャーナは,一応観光客が来る町にもかかわらず,安い宿の選択肢が限られてるのがちょっとつらい(ノヴァ・ゴリツァなんかも宿の選択肢が少ないが,あそこはそもそも来る観光客が少なかろう).スロベニアはもともと物価が高めなので,ある程度はしょうがないのだが.前回来たときは,安めのゲストハウスを探すのにけっこう苦労して,しかも町の中心からだいぶ離れたところになり,めんどくさかった覚えがある.今回は,インフォメーションに行ってみたら,中心部近くなのに一泊58ユーロの宿が紹介してもらえて助かった.


今度はクロアチアの首都だ.関係の深い二国の首都同士,しかも電車で二時間ほどの距離というのに,電車やバスの便が日に数本というのはいまいち理解に苦しむ.日本人の感覚では一時間に一本出したいぐらいだ.まあ人口が全然違うわけだけど,でも,リュブリャーナからのバスに乗ろうとしたら「次のバスは満席だよ」とか言われたんだよな.もうちょっとあってもいいじゃん.

それはともかくザグレブの町は大都市である.今回訪れた町の中ではぶっちぎり最大級であろう.人も多いしかなり栄えている様子である.むかし一度来てるはずなのに,「こんなにでかい町だったっけ?」という感じだった.いや,10年前に比べるとやっぱり経済成長してるのかもしれないな.郊外のでかいモールなんかはわりと新しそうなのも多かったし.

で,大都市なんだけど,まあ,観光的には地味で,観光名所の多いクロアチアではわりと残念扱いにされるかわいそうな子でもある.いや,大都市でインフラもまあまあだし,町歩きするぶんには十分おもしろいところだと思うよ.買い物や食べ歩きしてもいいし.

某ガイドブックの読者投稿欄で,あるレストランについて全然だめとか時間の無駄とかぼろかすに書かれていて,むしろ逆に気になったので入ってみた.確かに大衆食堂ふうでそれほど洗練されてない料理だったけど,別にまずいとか時間の無駄だとかまでは思わなかったなあ.ビールもつけて二人で1700円ほどだったし,コストパフォーマンスは悪くないと思ったんだけど.カツレツとかむしろうまいほうだと思った.


2014-09-06(土)

無題

今回の機内映画のコーナー.

  • Grand Budapest Hotel
    ホテルの中が舞台なのかと思ったら全然そんなことなかった.わりとつらい話をコミカルに描く系だな.ライフ・イズ・ビューティフルみたいな感じか.あと高級ホテルの世界って現実には全然縁がないけど,やっぱり古き良き時代は今とだいぶ違うんだろうか.
  • The Kiyosu Conference
    歴史上の人物が現代風に喋るから,なんか漫画を読んでるみたいな気分だった.あと柴田勝家がちょっとマヌケ過ぎる気がするんだけど.どうでもいいけど,英語字幕にいろいろ工夫のあとが見られてちょっと面白かった.同一人物だとわかるよう,呼び名をあえて変えたりとか.
  • The A-TEAM
    うーん期待通り実にクソどうでもいい話だった.頭を全然使わないので,飛行機で見るのにいい.でもちょっと映像がちかちかしてて目が疲れるなあ.ところで,あとで調べてみたら,「コング」とか「モンキー」とかいう呼び名は日本オリジナルだったと知ってびっくりした.