さて、単純往復と言ってはみたが、話はそう単純ではない。今回はまず関空〜ホーチミンシティ往復の航空券を買っておいたのだが、ずーっと同じところで過ごすのもどうかなあと思ってはおり、せめてもう一カ所ぐらいは行こうかなとあれこれ悩んでいた。そして最終的に行き先を決めたのは出発便の搭乗ゲートの前である。つまり、空港で待ってる間に、国内線の航空券をもうひとつ買ったのだ。スマートフォンというものはまことに便利である。
ニャチャンというのは、ベトナム南東部のビーチリゾートである。ホーチミンシティから夜行バスでも行けるが、めんどくさいのでやめた。7時間かかる上に早朝に着くしな。夜行列車だったらもうちょっと楽なんだが、これは駅に行ってみて満席だったらもうバスに乗るしかない。というわけで最初から飛行機にした。
ビーチリゾートということなので、この町はやはりコロナウイルス騒ぎの影響がでかそうだ。町の南半分にでかいホテルが立ち並び、中国語やロシア語の看板をかかげた店が多いのであるが、そのあたりは本当に閑散としているようだった。まあ俺たちは北側に泊まったので、空港バスの窓から見ただけだけど。いや、ロシア人の客が減ったのはコロナウイルスのせいじゃないのかね?
ともかく、外国人の客が来ないので、ビーチに来ているのも国内の客ばかりだった。日本の観光地に日本人客がすげえ増えたのと同じ現象だろう。また、外国人を相手にしていたお店は閉めたり廃業したりというところも多かったが、地元の人やベトナム人が来る店は普通に賑わっていた。タイ観光フェアみたいなイベントをやっていたが、あれもベトナム人向けなんだろう。
夕食に、地元で有名な焼肉屋がホテルの近くにあるというので行ってみたら、17時にはどんどん客が入ってきており、ちょっと見ている間に二階席まで全部埋まって待ち行列ができていたほどだ。ちなみに焼き肉はなかなかうまかった。まあ、ベトナム旅行に行った感想を聞かれて「焼き肉屋がうまかった」もないもんだとは思っている。
日本から来てすぐだったので、なんという暑いところだと思っていたのだが、あとでホーチミンシティを歩いてみたら「ニャチャンはまだ過ごしやすかった」という事実に気付いて驚いた。海沿いのせいか、そこまで気温が上がらず、日陰にいるとけっこう涼しい風も吹いたりするのだ。