ゆうゆ

 ローソンの抽選であったのは、なんとA列。
舞台に向かって少し右側のお席。
なんせ1〜2mくらいのところにクサナギさんがいるのですもの。
ありえません。ありえません。

 さて、今回、ワタクシこのお席でなかったら、上京しなかったかもしれないと
言うのが正直なところだったのです。
なぜか?こういうタイプの芝居が苦手だから。
そうして、カツラ姿のクサナギさんも正直、得意ジャンルではないから。
そこらは、やはり今も残念ながら揺るがず。

 ワタクシには、「瞼の母」についての予備知識はほとんどなく、上演前に、
ざっとパンフレットに目を通し、二役の方に混乱しないように心得たくらい。
ま、あらすじは読んでしまったけど。

 つらつらと感想というか雑感などを。
このお話を脚色せずにオリジナルでというのは、そうやらシスの北村女史のご希望だったらしい
という事は、後で知った。
なんとなく、インパクトに欠けるというのか、本当に話の筋を追ってしまい、
筋を追いかけることだけで終わってしまったと言うのが正直な感想。
残念ながら、そこから何かを感じるとか、少しは期待していた母と子の絆を
考えるとか言う事はまったく無かった。
あ〜ら、終わっちゃったわ。
なんとあっけなく、90分が短く感じた事でしょう!!
なんだろうな、そこにクサナギさんがいるというワクワク感も少なくて。
ファンとして、申し訳なさすら感じてしまった。
誰のお芝居がどうこうとかは、書く必要がないと思っている。
それぞれが、ご自分の芝居をまっとうしてるから。
ただ、三田さんは流石。大竹さんは化け物。
娘1のご贔屓の高橋一成くんは良かった。
しかし、役者のハーモニーが醸し出す緊張感に欠けたように思った。
こちらが息を飲むようなシーンもなかったしね。

 ただ、表情の変化が分かるところで見たクサナギさんの演技は素晴らしかった。
但し書きを残すため、半次郎の母おむらに手を取られた瞬間の甘く切なく母を思う表情。
本当にフッと力が抜けて、おむらに包まれて子供のような安心感を覚えたような雰囲気。
大の男なのに、幼子のような忠太郎。
すぐにあふれ出す涙。
あぁ、クサナギさん。
そうして、追って来たおはまとお登世を草むらでやり過ごすシーン。
とても切ない表情で、「早く帰ってくれ、行ってくれ」と心の叫びが聞こえるようだった。
人を切ったばかりの自分に出て行けるはずもない。
けれど、追っかけて来てくれた事は、涙が出るほど嬉しい。
嬉しいけど、出てはいけない。
二人が立ち去った後、本当にホッとした顔をするんですよ。
「あぁ、良かった。一生かけても会えないかとも思っていた母の顔を見、声を聞いた。
忠太郎とも呼んでくれた。あっしには過ぎた出来事だった」
と瞬時に思えたのでしょうか。
クサナギさんは、忠太郎をまっとうした。
演じきったと思います。
しかし、忠太郎はクサナギさんの上には降りてこなかった。
役として演じる事は、出来たけれど、役が降りてこなかった。
と、そんな風に感じました。
なので、いつまでも反復して思い出す事も少なくなっています。
残念なのですが。

 最初は、気がつかなかったのですが、クサナギさんの左の顎骨のちょうどあたりに、
5cmほどの痣がくっきりと。
後日、WSで確認しましたが、しっかりとありました。
殺陣も激しいので、小道具でも当たったのでしょうか。
大向こうから声がかかった事をその場にいたのに、わかりませんでした。
それで、2回目のカーテンコールではける時に、ニコッと笑顔が出たのですねぇ。
はにかんだような。
そうそう、退場になって半紙が舞台の頑張れば取れそうな所に落ちてましてね。
数人で半紙とにらめっこ。
結局、皆さん、一線を踏み止まり、退場なされました。
うれしいよ、クサナギファンの皆様。
しかし、通路に落ちていた落ち葉は拾って帰りました。
そうそう、対面のシーンで、桜の花びらが落ちるんだけど、ちゃんと桜型なの。
細かいね、美術さん。
細かいと言えば、大竹さんのキセルからは本当に煙が!!
すごいねぇ〜

 昼が終わって、ちょっとキャロットタワーをブラブラして、当日券に並びました。
昼の部は、結構な人が並んでいたのだけど、夜はゆっくりめでした。
ここからはU子さんと合流し、二人してお星様(スマコンでは、十分なお席だが)になりました。
近すぎて分からなかった動きとかを確認しました。

 3階席から、全体を見渡すと違うものも見えるかと思ったけれど、
残念ながら何も見えなかった。
好みじゃないの一言かもしれん。
しかし、早い時期に見てたU子さんがおっしゃるには、随分と良くなったとの事。
所作もスムーズで一つ一つがきれいで、お稽古に頑張った事が伺えた。

 昼の舞台が終わって、2階の本屋さんで記念にと「FLIX」を買った。
夜もU子さんと一緒に立ち寄る。
舞台を見てきた人で賑わっていた。
クサナギさん、皆があなたの事が好き。
好きだから、期待もするし失望もする。
そんな事をつらつらと考える。
ずっと考えながら、こんなに人の心を掴む人は何ものだろうと思う。
何ものでもない。
クサナギツヨシには、そういう生き方をしてほしい。
そうして、いつでもドキドキやハラハラを届けて欲しい。

 今回のお芝居で、良かったのは随分とご年配の方に、しかもお芝居の好きそうな方が
たくさんに見にいらしてくれている事。
玄人っぽくなく、ごく普通の方が「瞼の母」という演目を見てくださる。
素晴らしいなぁ。
そうして、立ち見で若い男の子が一人で見ていたのも新鮮だった。
ご自分にも何かを目指すものがあるのかもしれんと想像力が逞しくなった。

 東京から帰った翌日、義母が集中治療室に入った。
心臓がフッと止まるらしい。
普段は、今まで黙ってた分を取り戻すかのように、喋りまくっている。
脳梗塞による左麻痺と脳血管性の認知症を併発しているが、不思議と人の顔と名前は
忘れていない。
このままだと、大丈夫じゃないかと思っていたら、昨日の夕方心臓が止まった。
蘇生は行われたが、そのまま息を引き取っても可笑しくなかったらしい。
きっと、誰かを待っているんじゃないか。
そんな気がして、しょうがない。
が、我が家はずっとエマージェンシーかかったままの状態。

 けど、もしこれが1〜2日早かったら、クサナギさんには会えなかったな。

 無事に幕は下がった様子。
何はともあれ、事故もなく駆け抜けることが出来て良かった。
今、ここにアクセスして、表には出てないけど、脇のアマゾンさんの広告には
ずらっと「番場の忠太郎」関連のCD、ビデオが!!
ふふふ。
何も言う事はないわね。
ありがとね、忠太郎さん。

 なぜか今年の人事異動は6月で。
各事業部の部長がみんな変わるという恐ろしい人事だったのです。
そうして、うちに来たのが、以前の上司。
これがなかなかの曲者でねぇ。
と、みんなして警戒していたら、意外と上機嫌でニコニコしている。
あ、この人も変わりたかったのかな?と思った。
けれど、油断は出来ない。
しかしねぇ、6月に入ってからというもの、結構なまずい出来事が続いており、
静か〜に歓迎されているのかもな。

 それと、どこの職場でもそうだけど、思っていたのよりも現実が違う事って多いよな。
はたから見ていると良さそうってやつ。
ベテランさんが3月から内部異動しているのだけど、ここにきてお互いがそう思っている感じ。
ご本人の意思の重視、自立支援が欠かせないのだけど、前のところの癖なのか、
そこら辺りが弱い。
無理にこちらのペースに入れようとすると、不穏になったりする。
どんなに認知症が進んでいても、意に反する事をすれば怒られる。
特養などの施設と違い、自宅のある方ばかりなので、気持ちの折り合いをつける
必要も無い。
そういう、難しい介護をしているのだけど、ここにきてベテランさんの悪い癖が出ている様子。
このままじゃ、居場所がなくなりますよ。
6月より内部異動してきた評判の良くない職員が、案外とあっているのか馴染んでいる。
不思議だ。
他施設よりの移動の職員は、これがまったく使えない。
けど、4年目の人。
介護するにしても、どういう施設にいたかで、変わるものだな。
この人が、ワタクシより勤務年数の短い人でよかった。

 なかなか大変な職員を抱えながら、業務に追われ、その方々にも慣れて
延びて頂かなければならない。
本当に使えるようになるには、大変だ。