最近は「タオルケットをもう一度」シリーズを遊んでいた.フリーで公開されてる(た)RPGツクール2000製のゲームなのだが,個人で作ってるようなのに多作である.ゲームを最後まで一本完成させるだけでも,けっこう大変なものだろうになあ.どの順番でやるか悩むぐらいだが,内容が関連してる場合があるので基本的には発表順にやるのがよいようだ.ただしナンバリングは別に発表順と関係ないので注意.なおプレイ時間は,それぞれクリアまで一日かからないぐらいである.
シリーズ通しての特徴は,お話やセリフ重視でゲーム性は低いことと,自作のドット絵に味があることなどか.いちおうドラクエ式の戦闘システムなのだが,まあ適当にやってても滅多に負けるようなことはない.強いて言えば1は多少死ぬ可能性があるかも.作品によっては,パーティーメンバーを選ぶシステムとか,特殊なイベントで技を覚えたり能力が上がったりするシステムとかもあったりするが,そもそも戦闘で苦労するわけではないので,世界観を楽しむ味付けだと思ったほうがよさそうだ.「笑うわらわぅ」に至っては戦闘などイベントの一つにすぎない.
・タオルケットをもう一度3,2,1
初期の三作はわりと有名なようだ.この三作は比較的完成度が高いし,内容的にも一般におすすめできると思う.2がスーパー鬱展開なのがどうしても目立つが,どれもちゃんと話がまとまっていて演出にも凝っているところが大変良い.たいがい,3がほのぼの,2が鬱,1が壮大というふうに言われていて,まあその通りだ.ちなみに,タイトルからは全然想像つかないが,3と2は宇宙人が攻めてくる話で,1はロボットが人間を襲う話だ.あと2と1はラブストーリーでもある.
・タオルケットをもう一度6,4,5
その次の6からは作風がちょっと変わり,キャラクターに比重を置いた感じになった.まあはっきり言えばヲタ向きかも.女の子がいっぱい出てきてどうでもいい会話をしてキャッキャウフフみたいのが受けつけられないとちょっとキツいかもしんない.あとこの時期の作品はいろいろ模索しているのか,ちょっと作りが粗いような感じである.展開が唐突だったり会話イベント量のバランスが取れてなかったりする.4と5の間に「タオルケットをもう一度 fury」なる,作りかけで中止になったものもあったりする.やってみると一応最後まで話はあるのだが,確かに作りかけだ.珍しく戦闘に耐性パズルを導入してちょっと難易度を上げたり,いろいろ工夫の跡は見られるので,完成しなかったのはちょっと惜しまれる.なお,5では作りがわりと安定してきて,全編ギャグ調ではあるがけっこうよくできている.下品なギャグかと思っていたら伏線だったという展開などはちょっと驚いたし.
・かいけつ!猫足乙女ちゃん,笑うわらわぅ
その後の作品は,キャラクター重視路線の中でそれなりに完成度が上がってきた.タイトルが「タオルケットをもう一度」じゃなくなったが,まあ同一シリーズと見なしてもさしつかえないだろう.「猫足乙女」のほうはまあおおむね王道的なストーリー・演出と言えると思う(前半はギャグ調が強いが).主人公に関してちょっとツッコミづらいネタが入っていて,タオル2とは別の意味で商業作品では難しいだろうなと思った.対して「笑うわらわぅ」はだいぶん異質な雰囲気である.一体何のお話なのかストーリー終盤までわかりにくいタイプの演出もそうだし,システム面でもいろいろ実験的な試みをしていて,しかもそれなりにうまくいっている感じだ.「絵本の世界」のちょっとびっくりする演出とか,ザコ戦は一切しなくてもクリアできる構成とか,もはやドラクエ型のゲームと言うよりアドベンチャーゲームに近い.ミスティックアークなど,奇妙な世界を遍歴する話が好きな人には楽しめるだろう.この作品ではドット絵の技術もさらに向上しており,その点でも楽しめる.