デビュー作の「生存者ゼロ」も面白くて、一気に読み上げた。
その作者の2作目。
今回は、描写の特殊さもあり一気と言うわけにはいかなかったが、それでも3日ほどで
読み上げてしまった。
特徴的なのは、情景が浮かぶ描写力。
文字を読みながらも、脳内は映像化されてしまう。
映画が出来上がる小説なんて、実は初めてかもしれない。
書かれている内容は、実にタイムリーなもの。
東京を1夜で消滅させるというプロの軍人によるテロ。
その中で、どう日本国民の命を守るか。
誰がどのようにして守るのか。
まさしく、安保の問題がそのままなのだ。
実は、その中に盲点がある。
自衛隊が外国で活動をする事を前提と考えがちだったのではないか。
もし、国内で大規模なテロが起これば、守る者は日本国民。
よその国の兵士や民ではない。
そう考えてみると、国を守る、国民の命と財産を守るという事はどういう事なのか。
もちろん、そういう事を主張した小説ではない。
が、読み終わった時に、感じる空恐ろしさが一流のエンターテイメントとして成立
している事に感動すら覚えた。
究極な状況になった時に、自衛隊に何が出来るのか。
そこにたくさんのクリアしなくてはならない法律があるが、それを議論する時間すら
なく、見えない敵に対しての判断をしなければならない状況。
何をなすべきか。
人として、どうするべきか と問われる場面がたくさんある。
そうして、たくさんの犠牲も払われる。それは、数十万人を守る為の犠牲。
目からウロコを落としつつ、そのリアリティにあっけにとられながら、時に涙した。
これを読むと、自衛隊の存在の大きさを知る事になる。
「今、そこにある危機」は、本当にすぐ傍にあるのかもしれないと思った。