「三宅乱丈」(検索対象:タイトルのみ)の検索結果

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 えーと「サイコサスペンス」みたいなジャンルになるのだろうか。人の記憶に入り込んで記憶を操作したりできる超能力者(?)たちのお話。1巻2巻同時発売。最近こゆの多いねー。スピリッツ連載中。

 詳しく説明するのは非常に難しいな。このマンガの世界では、能力者というのは精神感応性が非常に高いというような設定だろうか。そのために人の意識に飲み込まれて自我を保っていられなくなるのだが、心に「鍵」をかける訓練と、記憶に「ヤマ」と「タニ」を作ることで自我をつくる、というような感じ(なんか違うな…)。で、鍵をはずすことで他人の意識に入り込めるわけだな。
 ほんで「ヤマ」「タニ」というのがまた重要で、ここを壊したりなくしたりすると廃人のようになってしまう。能力者となる子供はこの「ヤマ」と「タニ」を持っていないのだが、それをほかの能力者にわけてもらうことで自我を持てた。そのため、「ヤマ」をわけてくれた「『ヤマ』親」は、分けてもらった方の能力者にとっては絶対的な存在になる。んで、その辺で能力者間の複雑な人間関係ができたりするわけで、物語が展開していくわけだ。
 なんか説明が下手で申し訳ないのだが、たぶん最初の1〜2話をざっと読めば内容は掴めると思う。

 設定とか、人間関係の描き方とか、もうどこをとっても秀逸。やあ、「超能力者同士のバトル」とか書いちゃうと非常に陳腐な感じだが、単なるSFではないのね。なんていうか、見せ方が非常にうまい。
 精神感応の表現を見ても、例えば「NANASE」は小説ベースのせいか文字(というか音声)が中心になる。もちろんビジュアルなイメージというのもあって、その点では小説で表現しきれない部分をマンガならではの技法でうまく描いていると思う。ただ、「NANASE」に登場する人物の頭のなかって、非常に整理されて論理的なんだよな。文字で表現できてしまう世界というか。それに対して、この「ペット」は人間の記憶や意識の混沌とした状態とかうまく表現できてるし、人間の記憶に入り込むときに「イメージ」という概念をつかってるのが面白い。まあ、その「イメージ」に関しては今のところそれほど重要なアイテムにはなっていないけど、読みやすさ、ハマりやすさの一端を担っていると思う。

 そんなわけでわし的にはすげえ大ヒット。★★★★★。
 今後の展開がひじょうに楽しみ。

 ただ、気になる点としてはこの漫画って主人公不在なんだよな。いや、おそらくヒロキも悟も司もみんな主人公なんだろうけど。今のところ主人公がひとりに絞られてないからといってそこがデメリットになってることはなくて、むしろ話を展開させやすくなってるんじゃないかな、という気はする。例えば「20世紀少年」のオッチョ視点、カンナ視点、小泉視点って感じでころころ視点が変わるのと比べても全然読みやすい。それぞれの主人公をうまく使えてるな、という印象だ。けど、話の焦点がボケやすくなることは間違いがないので、やや心配。

 ときに三宅乱丈というと、以前モーニングで「ぶっせん」という坊さん学校を舞台にしたギャグを描いてたわけだが、それやIKKIでやってた北極とも雰囲気は全然違う。この人こんな漫画も描けたのかー!というすごい驚きがあった。
 それに、この漫画読んで改めて思ったんだけど、この人、うまいよな。なんていうかね、人物の書き分けがすごいと思う。ただいろんな種類の人間をかけるってだけじゃなくて、若いときとか子供時代とかを描いても同じ人物だとわかるのよね。まあもちろん絵だけじゃなくてセリフもあってのことなんだけど、そこに全然違和感がないというか。あとこの漫画だと、能力者はひとの記憶の中で人間以外のものに姿を変えたりするんだけど、姿を変えたとしてもその人の特徴はちゃんと残ってるのね。こういうマンガを書ける人はすごいなーとか思うよ。
 というか、出版社が違うのに、帯に「『ぶっせん』の三宅乱丈」とか書いてあるのは、ある意味すごいと思った。

(発行日:2003/03/01)

 おもしろいおもしろい。
 おもしろいんだけど、説明が難しいなあ。
 林を潰して自分も壊れかけていながら、ヒロキの助けでなんとか自我を取り戻した司。この司の真意が読者にはまだ見えないのだが、ヒロキに対しては対等であるように見せかけつつ利用しているようでもあり。他方、悟の方は中国人の「社員」ジンと接触、会社に深く関わり始めて、という感じ。
 動きはあるのだが、ひとつひとつ説明するのもなんだなあ。それと、今物語のキーを握っていると思われる司の考えがいまいち見えないので、わかりにくいところも多いし、どう繋がっていくのやらって感じだよなあ。なんつーか、まだ伏線を張ってるような状態だろうか。
 そんな感じで、この巻に関しては★★☆☆☆くらい。面白くないわけじゃないけど、ちと停滞気味なのと、この巻だけでは何もわからないってことで。それでも漂う緊張感と、この表現力はすごいね。目ははなせねえですよ。

(発行日:2003/07/01)

  終幕。
  んー。すごく面白かったんだけどなあ。最後の方はばたばたと無理矢理終わらせたかのような印象。 しかし、司、悟、ヒロキで潰しあいになるのかと思いきや、意外かつお涙頂戴気味で、比較的悪くない終わり方だとは思う。 もっと引き延ばせただろうなあ、とは思うけど、この辺でスッキリ終わるってのもひとつの選択かも。
  ということで、あまり評判のよろしくなかった終わり方だけど、あえて★★★★☆。

  テーマもアイデアもアイテムもよかった。話の展開も悪くない。1巻の健治のエピソードで「ペット」「会社」「イメージ」「ヤマ」「タニ」とかの概念を導入して、 2巻の司が林を潰すところから歯車が狂っていく様子とか、まとめて読むと非常によく繋がっていると思う。 打ち切りじゃないか?という憶測もあるかもシレンが、こうまとめてみると、最初からこの展開、この長さを想定してたんじゃないかと思えるのね。 そのくらいよくまとまってる。ただ、非常に残念なのは、全体の完成度に反して、断片から全体を見渡すのが非常に難しい作りになってた、ということ。 途中からだと話の展開がわかりにくいし、最初から読んでたとしても、最後まで通して読まないとそれぞれが何を考えていて、何が真実なのか、というのがまったくわからない。 読者にはある程度の正解か、ヒントを出しながら進めた方が、わかりやすかったんじゃないかな、と思えるんだよな。 「反して」という言葉を使ったけど、もしかすると全体の完成度が高すぎるあまりに、断片に含まれる情報が細かすぎたのかもしれない。 想像するにあまり人気なかったと思うんだよな。それがなんとなく残念な気がする。
  あと、個人的にはずっーっとイヤなヤツだった桂木が、実は・・・というのがすごくよかった。 桂木の過去のエピソードを読んだときには、なんとなく救われた気になれた。

  それにしてもいい漫画家だよなあ、この人は。次回作も期待してます。あと、短編集とか出して欲しいよなあ。 先日過去ログ読み返して、IKKIで読み切り描いてたことを思い出してね。探すとほかにもあるんじゃないかなあ、とね。

(第5巻発行日:2004/02/01)

  三宅乱丈初の短編集。スピリッツ短期連載の「王様ランチ」(2001年)、IKKIでの読み切り「ある日突然超能力者」(2001年)、 マンガ・エロティクスF掲載「マイママ」(2002年)、スペリオール増刊「格闘着」(2002年)、モーニング「言霊師」(1998年)、 同じくモーニング「ヘビースモーカーの息子」(1998年)、新マグナム増刊「肛門売ります」(2001年)、 モーニング「ウーさん」(2003年)を収録。いろんなとこで書いてるなあ。 IKKIの読み切りとか、新マグナムのやつとか、二度と読めないかもしれない、とか思ってただけにうれしいねコリャ。
  表題作「王様ランチ」は、顔面に食べ物を塗りたくることで性的興奮を覚えるという変な性癖を持った少年・享也と、 その少年のその変な性癖の元となった従兄弟・アキトの話。この人こういう変な性癖とか書くのうまいよなあ。 なんつーか、ちょっとアレっぽい話ではあるのだが、いかにも三宅乱丈って感じ。イイ。
  これは読まん手はないだろ。★★★★☆。

  三宅乱丈、今3本連載やってるね。この人が同時に3本も連載持つなんて、今までなかったなあ。 エロFの新撰組のヤツはバカバカしくて良い感じだ。まちこはエロいし。
  今気づいたのだが装幀がメチクロ氏だね。ってあまりよくしらんのだけど、今「ドロヘドロ」のフィギュア作ったりしてるよね。 わし、林田球とメチクロのコラボTシャツ買うためだけにメチクロ氏の個展に行ったことありますよ。 そこで本人らしき人にも声かけられた。なんつーか、いかにもな兄ちゃんだった。どうでもいいか。

(発行日:2004/08/03)

  職業「まぐろの餌」のまちこと、まちこに恋する脱サラ漁師の小川、そしてまちこを操りまぐろ漁を生業とする中村の繰り広げる大スペクタクル。スペクタクル?
  女の子がまぐろの餌で、セーラー服やらテニスウェアやらを来て海に飛び込んだりして、マグロに食われてまたマグロの腹から出てきて、という感じで設定やらなにやらかなりイカレてる感じなのだがさすが三宅乱丈って感じだ。豪快で面白い。 あと、マグロを割いて出てくるまちこがエロすぎ。これを描きたかっただけなんじゃないかと思うほどに。 いや、あと鼻毛も描きたかったんだろうな、きっと。
  まちこがタマゴを生んだりするくだりは、人によっては気持ち悪いとか感じる場合もあるかもシレンが、その変さもひっくるめてこの人のマンガだなあ、って感じがする。 ただ、万人に勧められる漫画かなあ、と考えるとちょっと疑問。「ヒーローズ」あたり見ててもそうだが、結構人を選ぶ作家だよなあ。 そんなわけで★★★☆☆。わしは好きですよ。

  書き下ろし「その名はますこ」収録。ますこ、すじこ、イクラに偽イクラ。

(発行日:2004/11/22)