ペンカランフールーから国境を越えて、タイ側にある最初の町がベトンだ。
この町はいわゆる陸の孤島である。タイの最寄りの町からは車で一時間以上山を越えないと来れない。たぶんマレーシアから来たほうがまだマシだ。
そのわりに、そこそこちゃんと町なのが不思議である。どうやって経済が成立しているんだろうか。マレーシアからの観光客に依存しているのか、特産の鶏肉とかをバンコクに売るのは意外ともうかるのか。
というかそもそもなんでこんなところに町があるんだろう。タイ北部にある中華系の落人村みたいなもんだろうか。
それとこの町は中華色が強く、文化的にも独特であるとよく言われるようだ。でも、俺としてはここに来たときにあんまりそういう感じを受けなかった。なんでかというとイポー中心街と少し似ていたからである。食文化的にも共通点があると思う。
そして帰るとき、こんどは北に向かってタイ国内を進んでみたところ、ヤラーとかの周辺の町と比べたら確かにだいぶ雰囲気が違うな、と納得した。ガチムスリムの服装の人がたくさんいるとか、中国語をあまり見かけないとか、そういうことである。
つまりここは「タイ南部としては異常なぐらい」中華色が強い、ということなんだろうか。
ところで、ここで観光するというと基本的には食べ歩きである。いろいろあって面白いんだが、まあマレーシア人以外わざわざここまで来ないかなあ。あと腹は一人ひとつしかないわけで、こういうとき一人は不便だ。
あとはおねえちゃんと卡拉OKするとかいう向きも多いそうだが。確かに、カラオケ屋とマッサージ屋は明らかにたくさんある。帰りのミニバンで乗り合わせた日本人の若者が、なんか現地の女の子と飲みに行った武勇伝を話していた。