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安土・桃山時代の武将であり茶人の古田織部正を主人公とした戦国・数寄物語。 古田織部は日本史の教科書に出てくるような人物ではないが、 数寄が興じて千利休に師事し、豊臣秀吉の代には切腹を命ぜられた利休にかわって茶頭となる。 「織部焼」は古田織部の指導で創り始められたという説もある。
とか書くと堅っ苦しい歴史物かと思われてしまうかもシレンが、そこはそれ、山田芳裕である。 古織の数寄っぷりをおもしろおかしく、飄々と、ときには切なく描いている。 どこまで史実に基づいているのかはわからん (特に利休切腹のあたりのくだりは、作者の独自解釈が含まれていると思われる) が、そんなこととは関係なくエンターテインメントとして、子供から高齢者の方まで幅広く楽しめる作品だ。 いや、子供にはちと難しいかね。
前作「ジャイアント」はいまいち作者らしくないなあ、というか、作者らしさがうまく出せていないな、
というような感想だったのだが、本作は「大正野郎」「やぁ!」など初期の作品に見られるような飄々としながらも鋭い切れ味をもちつつ、なおかつ暖かみのある雰囲気と、
「度胸星」「いよっおみっちゃん」「ジャイアント」など比較的新しめの作品に見られるような重厚感、大胆さが十分に出せていると思う。
いや、実にわしの持つ作者のイメージにぴったりよくマッチした作品だ。
かつ先述の通り、内容的に読者を選ばない。
……と思ったのだが、まあ仮にも歴史物ってことだけで敬遠しちゃう人も多いんだろうなあ。
ともあれ。本作は作者の代表作になる、と確信している。★★★★☆。
読者は選んでしまうかもシレンが、この人の漫画はこれでいいと思うのよね。
隔週連載なので進みは遅いが、連載の方では秀吉の政権にも陰りが見え始めている頃。 徐々に脂っこいところに入って行きつつ、さらに数寄も極みへと向かっていこうかというところだ。 この先にも期待したい。
「男のデカさはメジャーではかれ!!」
身長2mを越える巨漢の巨峰貢は、日本のプロ野球に、社会人野球に、そして恋人にまで捨てられ、挙げ句最後のチャンスのはずのトライアウトのために上陸したアメリカでカバンを置き引きされ、そのトライアウトにすら参加できなかった。
同じく空港で財布をすられた男の計らいでシングルAの試合に出ることになり、そこから彼の野球人生は再スタートすることになるが、、、
という感じではじまったこの作品。
山田芳裕らしい豪快な画風とメジャーリーグというスケールの大きい世界は非常によくマッチしていると思う。
しかしながら「一人の人間の成長」というシナリオの根幹と、「徐々に舞台を大きく」という方向性は、結果としてありきたりな漫画の枠を出ることができなかったように思える。
いやいや、毎回のダイナミックな描写、主人公自身の持つカタルシス、加えて登場人物達の熱さはどれもこれもいい。
いいのだが、なんていうのかなあ、ひと味足りないような、多すぎるような、そんな印象がある。
はっきり言って、山田芳裕作品として推せる作品ではない。
なんていうか、山田芳裕らしさが足りてない気がするのだ。
などと書いて、もし作者の目に留まったら気を悪くされるだろうか。
や、作者としては連載開始当初に書こうと思ってたことをすべて書ききれてるんじゃないか、って気はするのよね。
作品は終始、主人公・巨峰貢(ジャイ)と大学時代の同級生で日本の野球を選んだ三島の二人の野球バカの対比として描かれているし、
そのまわりを固める神宮寺、高取、カマーチョらもきちんと自分の役所をこなせているように見える。
いつも書いているような「終わりどころを間違えた漫画」にならずに済んでいるように思う。
ただ、なんとも収まりの悪い感じがあるんだよなあ。
多分その理由のひとつは、なんとなく駆け足っぽく見えるところだろうか。
作品全体の落ち着きがないように見えるんだよな。
そしてそのことは掲載誌がモーニングであったことと関係しているんじゃなかろうか。
2年以上も連載してたのだから人気がまるでなかったわけではなかろうが、
しかし必ずしもモーニングの誌面にマッチした作品だったとは思えない。
今ひとつの人気を保つためには脂っこさが必要だったのではないか、ということだ。
密度を高くせざるを得なかった、というか。
そうかもしれないしそうじゃないかもしれない。
けれど、わしの好きな山田芳裕作品ってのは、もっとこう、飄々とした感じが全体にみなぎっているんだよなあ。
それはわしの勝手な思いかもしれないけれど。
加えて氏の極端な大デフォルメがちょっと多すぎるかもしれない。
この作品、全体のちゃんとした流れを把握するためには、まとめて読むのが吉だと思う。
しかしまとめて読むと例のデフォルメの頻度がやたら高く感じるのね。
これがダメな人にはダメかもしれない。
なんていうか、作品の「ウソくささ」を助長している面があるかもしれない、と感じた。
もちろんこの「ウソくささ」をひっくるめてわしは彼のファンなわけだが、しかしファンのわしがそう感じる、ということは、ファンでない人から見ると鬱陶しいものになっているのかもしれないな、ということね。
そんなわけで、全体の評価としては★★☆☆☆。
この作品を絶賛できない理由はもうひとつある。
わし、野球マンガが苦手なんだよなあ。キャプテンとかプレイボールとかドカベンとか、全然読んでないし。
なぜかわからんのだが、いまひとつ夢中になれないのよね。
ってのは野球マンガ自体、方法論ってのが確立された分野じゃないですか。
結果が分かり切っちゃってる、というか。
いや、常に主人公が勝つ、とも限らないんだけど、負ける場合、負けた後の展開とかってのも書き尽くされてるからなあ。
なのでいまいちハマって読めなかった、というのもある。
ま、それは結局「ありきたりな漫画の枠を出ていない」ってことだと思うのよね。
ただ、枠を出なくてもその中で面白いモノを書く人はたくさんいるし、この人もそういうセンスを持った人だと思うのね。
だからこそもったいないなあ、という気になるんだよなあ。
いやいや。相変わらずこの人の大ファンであることには変わりないですよ。 次回作にも期待してますがな。ただ、モーニング、イブニングあたりではどうなのかなあ、っていう気がしちゃうな。
山田芳裕最新作、待望の第一巻。
まさかこの人が野球マンガを、しかもモーニングで描くなんてまったく予想できなかったのだが、そういうわけだ。
主人公は型破りに体のでかい巨峰貢(通称:ジャイ)。日本のプロ野球のスカウトには裏切られ、彼女にはふられ、内定してた会社の野球部は廃部、一念発起してメジャーのトライアウトを受験しに行くも、空港で置き引きに遭い全財産を失った上トライアウトも受けられず、、、という具合に不幸続きなのだが、空港で知り合ったおっさんがうまいこと1Aの試合にもぐりこませてくれる。で、そこからジャイのメジャーリーガーへの道がはじまるわけだが・・・てな感じだろうか。
話はまだそう目立って面白いところがあるわけじゃないのだが、なんつってもデフォルメというか、このひと独特のパースだろうか。バットに当たったボールがぐんにょりひしゃげたりとか、地面にめりこむボールとか、もう実際にこんなことはありえないのだが、この人がこういう絵を描くとそれだけでカッコイイ。あとは独特の擬音とかユーモアだよなあ。この辺は「度胸星」や「いよっおみっちゃん」ではあまり見られなかったところなので、デビュー当時からのファンとしてはうれしいところ。「うわひっ」とか「もひゃっ」とか、もうそれだけでおっけーすよ。
って感じでベタ褒め気味なのだが、実際マンガとしておもろいかどうかっつーと、ちょっと疑問。まして今のモーニング、水島新司もいるしねえ。方向は全然違うとはいえ、どうなんだろうなあ。
という感じで、ちょっと厳しめに★★☆☆☆。オモロいんだけどね。不安があるってーことで。
あー、あとこの1Aでのアナウンサーというか、DJのチャーリーがさいこー。巻末にチャーリーのシングルAの歩き方、なんて付録もついてる。このひと、3Aになってから出てきてないよなあ。残念。
今年の春くらいから何度かにわけてモーニングに掲載されてた、「度胸星」以来の山田氏の短編。全6話。ボリュームたっぷり260ページ。結局買っちゃったよ。装丁がよくって、つい、ね。
時は大江戸、文化・文政。腐りかけてるが根っこまで腐ってはいない梅ヶ原にふらりとやってきた女浪人・みつ(おみっちゃん)が、梅ヶ原の腐りかけたヤクザ豆七一家と、隣町である大竹町を仕切っている、「汗水垂らして働かないやつは生きている資格がねえ」がモットーの左文字一家との抗争に巻き込まれる・・・といったお話か。ヤクザの抗争とはいえ血なまぐさい感じではなく(といってもそれなりにちょっとアレな描写もある)、どっちかっつーと痛快な娯楽モノ。
正直なところ、モーニング掲載時はイマイチかなあ〜という感じで読んでいたのだが、こうやってまとめて読むとなかなかどうして。面白い漫画になっていると思う。全体のすっきりした筋道もそうなのだが、おみっちゃんに絡む男達がそれぞれに個性があって、それぞれの生き様を見せてくれる。なによりおみっちゃんのキャラクターが魅力的である。
しかしながら、それはあくまでただの漫画としての評価であって、決して「山田芳裕の漫画」としての評価ではない。というのは、これまでの山田作品で書いたとおり、山田氏の漫画の面白さのヒケツは「静から動へのダイナミズム」にあるのではないかと思うのだ。この「おみっちゃん」の中にも殺陣はあるのだが、どうも山田氏の本来の持ち味で描かれていないように感じるのだ。あるいは山田氏への過大評価なのかもシレンが、しかしわしが求める山田氏の漫画の面白さはこんなものではない。山田氏はもっと面白い漫画を描ける漫画家なのだ。
そういう目で読んでしまうとどうしても気になってしまうのだが、んーしかし最近ヤンマガやモーニングに載ってるマンガと比較すりゃあ、かなり水準高くはあるよな。でもあえて。山田氏の漫画としてはやはりイマイチだ、と言っておく。山田氏を知らない人がこれを読んで、これが山田氏の漫画のカラーであり持ち味であると誤解してしまうと問題あるかなーという気がするしね。
なのであえて評価は★★☆☆☆くらいにしておく。
山田芳裕ならまず「大正野郎」可能なら「しわあせ」、そして「度胸星」を読むべし。
新連載は年明けになるそうな。期待しましょう。
言わずと知れた「デカスロン」「度胸星」の山田芳裕のデビュー作。
もともとはモーニングとオープン増刊掲載で、講談社からモーニングKC全2巻で出ていたのだが、山田氏がヤングサンデーあたりに描くようになった関係で小学館から文庫版発売となったという具合だ。出版社関係ではいろいろあると思うのだが、わしもあまり詳しい話は知らないので割愛。
本編は、大正時代と芥川龍之介をこよなく愛する文学青年・平徹(たいらてつ)が主人公の、んーなんだろうな。「粋なコメディ」とでも言えばいいだろうか。うん、粋なんだよな。主人公・平も粋を追求する男なのだが、それがほかの登場人物とずれてたり、また行動がちょっと抜けてたりとかのあたりが笑えたりするわけだ。「笑える」=「ギャグ」かというとそういうものでもない。爆笑を誘うようなものではないのだが、んむーやっぱなんかホームコメディとかに近いのかなあ。
ただ、ホームコメディとかと明らかに一線を画するのが、平の「叫び」というか「憤り」というかの部分だ。こういうシーンがおおむね一話に一回挿入されており、しかも毎回一筆入魂の迫力で描かれており、そのときの平の台詞と絵、シチュエーションと相まって笑わせてくれるのだ。例としては第4話、粋を極めた感じの入れ墨の男が湯上がり際に冷水を浴びるのを見て「げ〜〜〜 仕上げに冷水(みず)を!!」と叫ぶシーンとか、あるいは第7話、竹久夢二の「見返り美人」同級生の五十嵐に切手の交換を迫るが、応挙の「とら」などを求められ、迷った挙げ句「如何!」と叫び、ピンセットをぐんにゃり曲げつつ切手を差出す場面、はたまた花屋敷のジェットコースターに乗って、民家が目前にせまったところで「伏せろー!!」と叫ぶ場面。・・・あー、こうやって文章で書いてもこの迫力は伝わらないんだよな。いやね、こういう場面がことごとく迫力があり、なおかつ大笑いできるんですよ。これは読んでみないとわからないと思う。
で、まあ、その迫力のカットもさることながら、山田氏の描くマンガの魅力のひとつは、以前も書いた気がするが「静から動へのダイナミズム」にあるのではないかと思っている。この「大正野郎」に関して言えば先述の「決めのコマ」にそれが集約されてはいるのだが、そのほかにも平の行動の節々でこのダイナミズムが見られる。また、動きのコマでの擬音や平の台詞が旧仮名遣いや古語だったりとか、そういう細かいところも笑える。
たびたび「笑える」と書いてはいるが、先にも書いたとおりギャグマンガではないのだ。あくまで「粋」とか「浪漫」の追求であり、そして温かみのあるコメディなのだ。さらにそらへの絶妙な味付けとして、山田氏の描く独特の描線と筆書きの枠線と擬音。あるいはフリーハンドの集中線やスピード線なんかもイイ味付けとなっている。これら全部がひとつになって「粋」をうまく表現できていると思う。
なんかもうべた褒めするのは気持ち悪いのだが、でもいい。
ってのはね、このマンガ、わしはリアルタイムで読んでいて、当時から単行本も揃えるくらい面白いと思っていたのだ。一般にギャグマンガなんかだと時間が経つとギャグが風化してしまい、10年も経ってから読み返して当時何が面白くて読んでいたのかわからん!なんてなことが多いわけだ。この「大正野郎」を今回改めて読み返すにあたっても、「今読むとあまり楽しめないかもしれないなー」という気がしていたのだが、それがどうだいおまいさん。もうはじめて読んだときと同じように楽しめてしまったのだ。むしろ今読むからこそ面白いのではないかとか思えるくらい、新鮮で面白い。
そんなこんなで★★★★★。つべこべ言わずに読め。
といいつつも、このセンスが分からない人はまったく面白くないかもしれない。加えて、そもそも絵があまり上手くない山田氏の初期作品だけあって、絵のきれいさとかはまったく期待できない(いや、味があってわしは好きなのだがね)。だから読んでみて「騙された」とか思う人もいるかもしれないが、まーその辺は所詮マンガ、たかだかマンガと思ってあきらめていただきたい。残念ながらそういう人には山田芳裕はあわないってことだろう。
ちなみに先日モーニングKC版の2巻も入手してしまってたのだ。実は今回はモーニングKCの1巻を探しに行ったのだが見つからなくて、かわりにこの文庫本を見つけてしまって買ってしまった次第。せっかくだからモーニングKCも揃えたいけどなー。
山田氏は年内にモーニングで新連載開始予定。度胸星の続きも描いてもらいたいが、山田氏の新しい世界にも触れてみたい。新連載、期待してますぜ(くわっ)。
長文スマソ。
先日ブックオフでなんと100円で購入.KCデラックス(A5版)だし発行部数少ないし,なんとなくマニヤとしてはこんな値段で買えていいのかしら!?って気もしたのだが,まあこんなもんだろうね(←現実的).本自体もヤニで汚れてて汚いし.
山田芳裕初期の作品.現代にあって侍として生きる新入社員加藤と,同期入社の天然オヤジ(という表現が適当とは思わないが)源が織りなす物語.というか,加藤が勝手にバタバタして,源が天然でそれをさらっていくってな構図なのだが・・・
なーんか評価は高いらしいのだが,はっきり言ってマンガとしてはイマイチ.山田氏独特のタッチも構図も擬音も生きてはいるのだが,なんというか作者の確固たる意志みたいなものが感じられないというか.作品としての方向性みたいなものがあまり見えてこないんだよなー.
それに設定と話の内容.加藤は「大正野郎」の主人公・平に通じるモノがあるっちゃあるのだが,ちょっとばかり無理に作り出された感じがしてあまり感情移入できない.話の最大の山場である球技大会も,加藤があそこまでこだわる理由がよくわからんし,源の行動もそれまでの彼の行動とあまり一致していないような気がする.それと小鳩.なぜ源に惹かれているのかもよーわからんし,なにより物語全体を通して重要な役割に思えない.加藤との絡みもあの蹴り一発だけだし.まー,なんというか,全体に作者の葛藤みたいなモノが見えるというか,なんだかなーって感じだな.
・・・と思ってたのだが,二度三度と読み返してみると,ちょっとした発見があった.ああ,ちょっとだけ作者の意図も見えてきたかもしれない.わかった風なこと書いてごめんなさい山田先生.
だけど少なくともこれをちょろっと読んだだけで山田芳裕を評価するのは勘弁してもらいたいなという意味を込めて.★☆☆☆☆
認めたくないが最終巻.
改めてまとめて読んでみると,たしかに3巻の後半くらいから無理矢理まとめにかかってるのがよくわかる.いや,シベリア最終テストの決着がつくところまではまだいいのだが,その次の回(第36話)から物語が一気に加速し始めている.むむう.そしてテセラックの謎は,ようやくヒントがつかめたか?というところ.これじゃ何も解決してないよう.
くっそー,読めば読むほどちゃんと完結した物語を読みたくなるじゃないかッ!
ということで相変わらずたのみこむところなのだが,サイトメンテ中とかで1/17(水)までアクセスできないらしい.むう.まあこっちはまた再開したらっつーことで.
こんな終わり方は認めないのであえて☆☆☆☆☆
「しあわせ」ではないことに注意.
「度胸星」の山田芳裕の初期の名作.もともとはモーニングの「パーティ増刊」で連載されていたものだが,講談社では単行本化されなかったらしい.それが10年もたってからこうやってほかの出版社で単行本化されることもあるのだから,こうやって単行本化を求め続けていればいつか報われるときがくるかもシレン.
話はAD2033年,1980年代に青春時代を過ごしたジュン爺さんが,その子供と孫と暮らしながら,21世紀を憂い80年代を懐かしむ・・・と書くとなんだかつまらなさそうだな.んーと,この物語で描かれる21世紀は,人がみな正直で嘘も犯罪もない世界で,そういう「味気ない」世界と闘うジュンの姿が楽しくもあり,哀しくもあるのだ.・・・って書いてもやっぱり分からんな.文章能力ないんです.すんません.
くろひょうが思うに山田芳裕のマンガの面白さってののひとつに,静から動へのダイナミズムがあるのではないかと思っている.「デカスロン」の万吉もそうだが,「大正野郎」の平,「しわあせ」のジュンなんかがカッと目を見開きナニか行動を起こす瞬間のコマ運びってのがイカス.いや,もちろんそれだけでなく,表情での感情表現のうまさとか,過度のデフォルメとか,いいところはたくさんある.さらに言えばこの「しわあせ」の頃だとペンタッチも独特で,コマの枠線に定規を使わないとか筆書きの字とかってのもいい効果を与えている.ただ,この辺って「デカスロン」の頃になると洗練されてしまって「らしさ」が無くなってきてるんだよなー.まあ同じような手法を使う漫画家がメジャーにも増えてきたってのもあるかもシレンし,そうはいっても山田氏本人は絵も上達しているし,決して否定するつもりもないのだが,しかし,うん,やっぱりこうやって最近のと古いのとを見比べると,昔の山田氏のマンガの方がくろひょうは好きだなあ.
などと懐古趣味に走るのも「しわあせ」の影響だったり(笑)
★★☆☆☆